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生薬づくりの現場に聞く、栽培の難しさとは
こんにちは、龍角散のスズキです。
今回は秋田県美郷町第3弾。
先日公開した美郷町第1弾、第2弾の記事にも記載した通り、美郷町では2013年より東京生薬協会と、そして2015年からは当社と直接連携協定を結んでいます。
これまで町長、町役場の方にお話しをお聞きましたが、今回は実際に生薬の栽培に携わっている農家の加藤 征輝さんにご登場いただきます。
なんと、加藤さんは美郷町生薬生産組合 組合長でありながら、ラベンダーの栽培に取組む団体の代表でもあります。
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過去にも当社のHPや動画制作などにご協力いただいており、いつもサポートしてくださっています。
-加藤さんが栽培しているものを教えてください。
加藤さん:生薬は、龍角散の原料となるキキョウだけですが、本業は農家ですので、花き(スプレー菊)、お米、ラベンダーを栽培しています。ラベンダーは、1989年のふるさと創生事業の頃からですので、もう35年以上になります。
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-いつ、どんなきっかけで農業を始めたのか教えてください。
加藤さん:実家が農家だったので、高校卒業後に家業を継いだということになります。減反政策が始まり、田んぼに他の作物を作る「転作」作物として、メロンやイチゴなど挑戦しましたが、年間を通した生産をしたいとハウスでの花き栽培に取り組むようになり、現在に至っています。
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-生薬栽培に取り組む経緯、きっかけ、当時の思いなどを教えてください。
加藤さん:取り組みのきっかけは、2013年2月に龍角散と町との連携協定が結ばれ、生薬の試験栽培をしていくということになり、花き農家をしていたこともあって町からお声かけいただいたことでした。
生薬栽培は地域で誰もやっていない取り組みということもあり興味が湧きましたし、挑戦しがいがあると思いました。
-美郷町で取れた原料が龍角散製品に使用される感想や、周りの方の反応などを教えてください。
加藤さん:有名な龍角散の製品に、美郷町で収穫されたキキョウが入っていることは、本当にすごいことだと思っています。また、CMや新聞などで何度も取り上げていただいたこともあり、「生薬の里 美郷」の認知度も少しずつあがってきているように感じます。
-キキョウの栽培をする中で、一番難しいことを教えてください。
加藤さん:生薬原料はそれぞれ規格が定まっていて、それを満たすように作らなければならないことが大変であり難しい点です。キキョウは、根の部分が生薬原料として使用されるのですが、乾燥状態で直径1cm以上、長さ10cm以上というように規格が定まっています。そのため、収穫後の手作業で行う選別(規格に合わせた加工)に多くの時間と労力を費やすことになります。根の形状は掘ってみるまで分かりませんし、掘ってみたら規格を満たさない細かい根ばかりだったらどうしようという不安もあります。
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-キキョウの栽培をする中で、過去に一番嬉しかった出来事を教えてください。
加藤さん:真っすぐな根を作るための栽培方法として、直播きがあります。ただし、直播きは雑草に負けるなどして発芽が安定せず、それが課題として挙げられていました。
そうしたなか、通常の苗定植での栽培のかたわら挑戦した直播きで、ゴボウみたいな根ができたときがあって、この経験が一番嬉しかった出来事になります。残念ながら、その後同じようにやろうとしても、再現できないんですけれど。
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-今後の計画などあれば教えてください。
加藤さん:龍角散には、東京生薬協会を通じての栽培技術指導、栽培や加工調製作業の効率化に向けた機械設備に対し、本当にたくさんのご支援をいただいておりまして、産地としての期待の大きさを感じています。
昨年も行いましたが、組合員がお互いの圃場を見学し合い栽培技術の共有(均衡)を図ったり、新たな取組者を増やしたり、技術を高めあいながら栽培面積を拡大していくことによって、この大きな期待に応えていきたいと考えています。
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-最後に。
加藤さん:美郷町で生産される生薬原料は、水がきれいで自然豊かな環境の中で作られているということはもちろん、栽培履歴のある安心安全というのが“売り”です。そうした点もアピールしていきたいです。
3回にわたり美郷町の記事を掲載しましたが、いかがでしたか?
美郷町は、豊かな自然と歴史、名水百選に選ばれた湧水や、四季折々の美しい風景など、魅力がたくさんです!
そして何より、この町に広がる空の大きさは圧巻。田園風景の中に立つと、いつも視界いっぱいに広がる青空に癒されます。
皆さまもぜひ機会があれば美郷町を訪れてみてください!!
以上