佐藤さんから見る、美郷町と生薬
こんにちは、龍角散のスズキです。
今回は秋田県美郷町第2弾。
先日公開した松田町長の記事にも記載した通り、美郷町では2013年より東京生薬協会と、そして2015年からは当社と直接連携協定を結んでいます。
今回お話を伺ったのが、美郷町 農政課の佐藤 博昭さん。
当社との調整窓口としてたくさんお世話になっている佐藤さんは、いつどんなことを相談してもきめ細かな配慮を欠かず対応してくれます!
-簡単な自己紹介をお願いします。
佐藤さん:28歳で役場に入り、今年で22年目になります。美郷町で生まれ、大学や出向で一時的に町外へ出ましたが、人生のほとんどを美郷町で暮らしています。
2013年2月に龍角散と美郷町が連携協力協定を締結してから12年目となりますが、不思議とご縁を感じています。企画財政課では協定式やホオノキ植樹の初開催に、商工観光交流課では藤井社長の町産業大使就任にそれぞれ立ち会うことができました。2021年に農政課へ異動してからは生薬の主担当として、試験栽培に関わるほか、連携事業の調整窓口をしています。
-美郷町の好きなところ、好きな場所はどこですか。
佐藤さん:好きな場所はラベンダー園です。時間がゆっくり流れる感じがしてリラックスできます。好きなところはたくさんありますが、水を張った田んぼが一面に広がる風景、町中心部で今も生活の中にある湧水、地域を潤す水源のもととなる周囲の山々に積もる雪など、豊かな自然に恵まれていることです。
-龍角散との取り組みを始めて以来、どのような変化を感じますか。また、佐藤さん自身どのような変化がありましたか。
佐藤さん:生薬栽培の経験を重ねていく中で、ますます産地としての期待の高まりを感じています。そして、生薬の取り組みを通じた交流から、新しい展開が生まれていることに驚かされています。昨年だけでも龍角散のCMやYouTubeなどで美郷町を取り上げていただいたり、薬樹の森健康公園のネーミングライツパートナーになっていただいたりといった出来事がありました。生薬の担当として、こうした場面に携わるたび、今まで以上に使命感を持って役割を果たしていかなければならないと思いを強くしています。
-これまでに直面した課題や問題点はどのようなものでしたか。
佐藤さん:キキョウ栽培に関して言えば、2023年の異常気象です。7月の集中豪雨と8月以降の断続的な猛暑には本当にまいりました。キキョウは2年栽培となりますので、残念ながら影響は今年の収穫量に出てくると思っています。2024年は、この経験を踏まえ、取組農家が視察研修や圃場巡回を重ね技術の共有を図ってきました。今年も大雨や猛暑となりましたが、キキョウの生育は順調に推移していますので、来年の収穫に期待したいです。
-農家の方たちと接する上で気を付けていることはなんですか。
佐藤さん:農家の皆さんは年齢的に先輩であり、花や野菜の栽培に関しては経験も豊富です。私の役割は、そうした農家の皆さんの経験が生薬栽培でも生かされるように、生薬の栽培指導をしてくださる先生方とつなぎ、生薬の栽培技術を向上させていくことだと考えています。できるだけ圃場に足を運び、同じタイミングで同じ薬用植物を見て触れながら、農家の気づきを聞き逃さないように心がけるようにしています。
-仕事のやりがいはなんですか。
佐藤さん:本当の意味でのやりがいは、生産量UPといった目に見える成果を得たときに実感できるのではないかと考えています。ただ今はそこへ至る途中ですので、一つ一つの取り組みに自分の役割を見つけ、実行していくことにやりがいを見出しています。例を挙げると、その年の作付面積から苗数の計画を立てて播種育苗を行い、無事圃場への定植をやり終えたときなどに、ささやかではありますが自分なりのやりがいを感じています。
-生薬栽培に関して一番嬉しかったことを教えてください。
佐藤さん:カンゾウの試験栽培で、望んでいた規格値を満たすものを収穫できたときが一番嬉しかったです。カンゾウは生薬栽培の取組を始めた初期の頃から扱っていた品目でしたし、歴代の生薬担当が試験を積み重ねてきた経緯も知っていましたので喜びが大きかったです。これから本格栽培に向かうには、まだまだ課題をクリアしないといけませんが、そこに挑む覚悟が決まった喜びでもありました。
-生薬栽培に関して一番印象に残っている出来事を教えてください。
佐藤さん:初めてキキョウの収穫をしたときのことが印象に残っています。トラクターの後ろにつけた堀取機で株を掘り起こすように行う作業を初めて見たこと、掘り起こされた根の土を落としカゴで拾い集める作業を手伝ったこと、日頃の運動不足で手足や腰が悲鳴を上げたことなど、すべていい思い出となっています。
-今後の目標があれば教えてください。
佐藤さん:当面の目標はキキョウ出荷量1トンです。キキョウ栽培に取り組む自治体の中には、間もなくこの出荷量に達するところも出てきています。美郷町も壁を乗り越えられれば十分可能な目標だと思っていますので、農家の皆さんと協力しながら達成を目指していきます。
-どんな町になっていってほしいですか。
佐藤さん:チャレンジを応援する町です。若い人には、そうした風土があることが町の魅力の一つになり得るのではないかなと考えています。思えば生薬栽培もチャレンジの連続でしたが、これからも更なる産地化を目指して取り組みを続けていくことで、“生薬の里美郷”のイメージ定着が図られ、それが町の魅力の一つとして存在感を示していければと思っています。
-町の写真ギャラリー
というわけで、今回は美郷町 農政課の佐藤さんにお話しをお伺いしました。
美郷町を訪れるたびに、豊かな自然に心が癒されます。この町の穏やかな景色に包まれると、日常の疲れが和らぎ、まるで時間がゆっくり流れているような感覚になります。美郷町は、何度訪れても新たな発見と心地よい安らぎを与えてくれる素敵な場所です!
次回の美郷町第3弾は生薬の栽培にかかわる農家の方にご協力いただく予定です。
皆さま、良いお年をお迎えください。
以上